ロンドン交響楽団と首席指揮者のアントニオ・パッパーノは3月6日にカーネギーホールで、ラフマニノフのピアノ協奏曲とウォルトンの交響曲1番を演奏した。ラフマニノフのピアノ協奏曲はソロにオーケストレーションが充実していて、ソロ楽器のインスピレーションが詰まっている。作品の冒頭で情熱的なメロディーの流れ、物思いにふける木管楽器のソロと激しいカデンツァの後の緩徐楽章での優雅な旋律、そして神秘的な行進で始まり、作品全体のカタルシスのように感じられる壮大なクライマックスに向かって徐々に盛り上がっていくフィナーレなどなど。多くの魔法のようなディテールの中には、第1楽章の再現部で揺らめく弦楽器の音に遠くから響くホルンのメロディー(ラフマニノフの最も崇高な瞬間の 1 つ)、緩徐楽章のフルートとクラリネットのソロ、そして終楽章で延々と引用される第2主題に続く息もつかせぬペダルポイントなどソリストとアンサンブルのシームレスな融合。後半のウォルトンの交響曲1番は1930年台に書かれた。静かなホルン、弦楽器、オーボエが、落ち着きのないリズムと反復するオスティナートを微妙に作り出し、次々と衝撃的なクライマックスへと揺れ動く。不協和音は猛烈で最後には長調に解放される。ほぼシベリウス。この曲はアメリカではほぼ演奏されないそうなので、どの演奏会でもブラームスばかりのニューヨークの演奏会では非常にありがたい。ロンドンとパッパーノは新しい音の印象、卓越した演奏、新鮮なプログラムで2回のニューヨーク公演を楽しませてくれた。パーセルやヘンデルなど、イギリスにゆかりあるバロックと新曲やベートーベンなどシンプルだが奥が深い作品で、この指揮者とオーケストラの演奏を心から味わってみたい。
3.6.2025
Sir Antonio Pappano, Chief Conductor
Yunchan Lim, Piano
Program
RACHMANINOFF Piano Concerto No. 2
WALTON Symphony No. 1
Encores:
LISZT "Sonetto del Petrarca No. 104" from Années de pèlerinage, deuxième année: Italie, No. 5 (Yunchan Lim)
SIBELIUS Valse triste
パッパーノは全員引き立てる。珍しい曲でも最後まで興味が失われない。